From:秋山大介

なんだよ、これ… 無限ループじゃないか… これが感染症の怖さか…

あれは、4/30(木)の朝8時頃の出来事でした。第一報があったのは「6:30」、一人の社員から「少し熱があるので会社にいけません」と一言メールがありました。恐らく、私と同じ40代や、それ以上の世代の皆さまはこんなメールの数文字で会社を休もうなんて言語道断でしょう。

もちろん、、、私もその一人です。ただ、これには事情があり、私よりも連絡を優先する現場の責任者であるあえて言うなら「COO(最高執行責任者)」的な立場の役員の存在があります。だから、そちらには電話で連絡がいっています。

実は、この彼…以前から体調に難を抱えていて、通常であれば、解雇扱いになってもおかしくないくらいでした。入社は昨年の5月なのですが、10月までに出社したのは10%に満ちません。

だから・・・この時点で、十分に解雇扱いはできるのですが、私は、2つの理由があって、彼の雇用の継続をしました。もちろん、周囲からの「大きな反対」がありながら…そして、いつかは「彼と自分たちのどちらを優先するんだ!」「それなら辞めてやる!」と既存のメンバーに言われることを覚悟しながら…

では、その2つの理由は何か?

1つ目は「出勤日数を見れば解雇できるが、事情が持病であるから」です。

私も専門家に相談したのですが、これは本当に難しいところでした。そもそも、今は法律的に持病の有無は入社前に聞けません。また、これは出勤日数の根本的な原因が持病であると、それは、健康状態が原因なので、これも解雇は難しいと…

しかも今回難しいのは、「健康診断結果にはでない持病」ということでした。顧問の社会保険労務士に聞くと、健康診断結果に出ていれば、まだ対応があるようなのですが、そういうわけではないので、これは難しいとのことでした。

以前であれば、こういったことで解雇してしまうということができたそうですが、本当に、これは難しいそうです。とはいえ、労働局も人間の集まりですので、仮に何かあっても同情はしてくれるだろうと…ですので、違法性があるまでは断定はしないものの「う~ん」と本当に悩ましいものでした。

ただ、私としてはこの「解雇」の選択は全くありませんでした。むしろ・・・これは、私にとって悩ましいと言いながらも「最高の理由」ができた瞬間でした。

なぜなら、他の役員や社員から「解雇できないのか?」と言われていたからです。これで明確に解雇できない理由ができました。「法律的にムリだと」

そして、2つ目の理由ですが、これが私にとって、非常に重要な理由でした。1つ目の理由は、う~んと悩みながらも、もうひとりの自分は、ラッキーとしか思っていなかったので。では、その2つ目の理由は何か?ですが・・・

それは、、、「組織全体で人を育成するための許容範囲を広げる練習だから」でした。

弊社は、小さな組織で、役員3名、社員1名、その他15名程度の業務委託メンバー構成されています。ちなみに、社員は3年前を除き、毎年1名以上は入ってきていました。ですが・・・「定着しない」そこで私は、この原因が何か?とにかく考えました。

その末…この2つの結論に至りました。

◯1.採用方法が完全に悪い
◯2.組織全体で人を育成する許容範囲が狭い

1つ目は、これまで何度かお伝えしたことがありますが、本当は、空を飛ぶカモメを採用したいのに、ペンギンも鳥類だから、頑張れば飛べるだろう…という幻想に囚われていました。

ですが、それは結果的に間違った人材を採用していることになり、育成する側も、育成される側も辛い日々を送るまさに悲劇を生む原因でした。だから、これを根本的に変えました。

そして、2つ目…また、こちらが重要です。色々観察した末、気がついたいのは、組織全体に、いわゆる懐の深さのような「許容範囲=ストレス耐性」が低いことでした。つまり、、、ちょっとでも上手くいかないと、さじを投げてしまうような風潮です。

だから、私は「新入社員は、赤ちゃんだと思って、赤ちゃんを育てるように育成しましょう」と通達しました。また、次のこれが重要で、私は既存のメンバーに、こう言いました。

「彼を放出するのはカンタン。そこまで言うなら、 私は裁判でも何でも怖くないので、いくらでも戦います。 だから、そんなに辞めてほしいなら、もう一度言ってください。 そしたら、すぐに裁判の準備に入りますので。」

続けて…

「でも、考えてみてください。 彼に対して、やれることをやり尽くしましたか? 言葉がけをしましたか?休むと聞いて『そっか』の一言で終わらせていませんか? 『大丈夫か?どういう状態なんだ?』と彼を気にかける言葉を掛けましたか?」

と。

さらに続けて…

「今、ここでやれることをやり切ることができなかれば、一生できません。 来年は新入社員がもう一名来ます。そしたら、また同じことを繰り返すでしょう。 そのときは、もう採用はストップして、この会社は解散にむけソフトランディングさせます。」

と。

その後、彼はある治療のようなものを施したところ、持病は改善され、元気に働くことになりました。ただ、それまでは無菌室とは言いませんが、家にいることが多かったせいか、免疫が低いこともあり、ときどき発熱をします。

だから、今回もと思ったのですが、時期が時期だけに、最悪の状況を想定し、4/30(木)17:00から約2時間の会議を行いました。37.5度付近の熱が、断続的に続いています。しかも10日間。

しかし、ニュースを見る限り、これくらいの症状ですと、コロナウイルスに感染しているかの検査が受けれれず、非常に判断が難しいところです。ですので、私たちが最低限できることとして、彼は、連休明けまで完全に休み。

もし、容態が急変することがあったら、おそらく、自分では連絡が不可能になるので、同居する両親に役員全員の電話番号のメモを渡すように指示をしました。(あってはならないこと…あってほしくないことですが)

また、会社側ではもし、彼のご両親から連絡があった場合は、「まず、誰を休ませるか」の優先順位を付け、社員は月給なので良いとして対象となる業務委託の職人さんには「休業補償」をすることを決め、関係者各種への連絡を「誰が、どのような順番にするか」を決めました。

ただ、ここで難しいのが…「これが感染症の怖さか…」と実感する「どこまでが、いわゆる濃厚接触になるのか不明」という点です。

彼との濃厚接触者は、最低3名です。ただし、疑わしいのは、朝と夕方だけ顔を合わせる役員です。もし、その役員が接触者になると、私は、その役員と社内で一緒に仕事をしていたので、私も間接的に接触者です。

もちろん、私の母も一緒に仕事をしていますので同じです。また、その役員のご家族も…もし、そのご家族の仕事が休業でなければ、その先も…まさに無限ループでした。。。

実際に想定される感染経路を考えて、とてつもない恐ろしさを感じました。これは、テレビなどを観るよりも、実際に、シミュレーションしてみると、まったく「恐怖の実感値」が変わりますね。

本当に恐ろしいです。だから、もしものことが起きたときは、決めた方針の通り、着実に進め全面的休業を想定しながら、連休を過ごしています。とにかく、彼には何もないことを祈るばかりです。心より、そう願います。

ー秋山大介

PS)

「今日の一冊」は、こちら、、、

今回のような話のときに、
私が参考にしているのが、この本です。