From:秋山大介

単刀直入にお伝えしましょう。今日の内容は人事戦略を根幹から覆す「不都合すぎる真実」です。

私は、大学時代は組織行動論という学問をベースに、人のモチベーションをどうやったら維持し、向上することができるかということを研究していました。これに興味を持った理由は、そのときは「目標をどう設定するか」や「リーダーがどのような対応するか」で、人のモチベーションが変わるからでした。

『影響力の武器』がきっかけ

ただ、もう少し根本を掘ると…多くのマーケターやコピーライターが推薦する『影響力の武器』という本を、大学一年生のとき研究していただからでした。これは、組織行動論を勉強するベースとして、人間心理を勉強するために、先生から与えられた課題でした。

ですが、これが非常に面白い。勉強すればするほどハマってしまい、気がつけば、ちょっとした言葉で人の行動が変わるという事実を知ったのが、このモチベーションに興味を持った原点でしょう。特に、その一つがよく見かける話かもしれませんが、ズラーッとコピーに並んでいる人がいるのに「先にコピーとらせてください!」というよりも、「『急いでいるので』先にコピーとらせてください」といったほうが、承諾を得やすいというものでした。

これおかしいですよね?

これおかしいですよね?冷静に考えれば。だって、理由になってないですもん。しかし、人間心理はこの理由になっていない理由に納得してしまい、列ができて順番待ちをしていたにも関わらず、割り込ませてしまうという研究結果があったのです。そんな話がきっかけで、私は個人の感情の動きに興味を持ち、そしてその対象が組織に変化し、組織行動論を学びました。

そのあとは、新卒で卒業した会社で、さっそく学んだ知識を活用できる場があったので、試行錯誤しながら知識を実に変えていきました。そして、それから2年後、私は改めて一人の人材を育成することに興味を持ち、大学院で、今度は「労働経済学」の視点から、人材育成を研究しました。もちろん、そのときの研究のベースは「だれでも可能性はある。だから育成方法で人材はどこまでも成長できる」というものでした。

不都合な真実

ですが…その後、実際に組織人事コンサルティングの仕事につくと、人材育成の世界では「入社してからでは遅い…だから、幼児からはじめなければ」と思っていることが分かり、それが不都合な真実であったことが分かりました。ただ、この不都合な真実は、それから時を経て約10年後に「誤った思考」だということに気がついたのです。そうです、これが人事戦略を根幹から覆す「不都合すぎる真実」なのです。

人事戦略を根幹から覆す「不都合すぎる真実」とは?

これは本当に根幹から覆す「不都合すぎる真実」です。その理由はなぜか?それは、確かに幼児から正しい思考に基づく教育をしなければならないのですが、その幼児の年齢が世間の思う年齢よりも遥かに早いということです。さて、あなたは何歳から正しい思考に基づく教育を受けないといけないと思うでしょうか?

小学校低学年でしょうか?それとも中学生でしょうか?いや、幼稚園生でしょうか?それとも胎児の段階からでしょうか?0歳でしょうか?挙げるとキリがないですが、あなたは何歳だと思うでしょうか?

注目!◯歳までに正しい思考に基づく教育を受けないと…

答えを言います。その分かれ道は「6歳まで」です。ただ、できれば「3歳まで」に正しい思考に基づく教育を受けないと、大人になってから手をつけても、もう手遅れになってしまうのです。

これは科学的に完全に解明されていないので、イメージですが、0-3歳の間に、人間の脳の資質は70%完成すると言われています。そして、6歳までに90%、12歳でほぼ100%と言われています。ちなみに、科学的に完全に解明されていないとは言っても、脳科学で立証されている年齢や、教育経済学の観点で見ても、この「6歳までに90%」というのは揺るぎない事実として証明されています。

だから、証明されていないのは0-3歳に70%まで伸びるというところでしょう。もちろん、これは個人差がありますし、男の子か女の子かでも違います。女の子は、男の子よりも脳科学的に見て早く成長するので、早く完成する可能性があります。もしくは、男の子のほうが遅いといったほうが良いでしょうか。このあたりは、両方の性別のお子さんがいる方は、強く実感するでしょう。

6歳までで、ほぼ決まってしまう

つまり、教育学、脳科学、教育経済学の視点から見て、共通して言えるのは「6歳までで、ほぼ決まってしまう」ということです。そして、0-3歳に70%の数字は別としても、赤ちゃんの成長スピードを考えれば、ここで一気に伸びるのは現実的な子育てから実感できるでしょう。私自身、息子の成長スピードを見て、何%か分かりませんが、とんでもない成長であるのは分かります。

だから、この6歳までに「何をするか?」が、その後の人生を大きく変えてしまうということです。しかも、このときに「どんな教育をすると、40年後の人生が上向くか?」という研究が、アメリカで行われました。その結果を見ると、きっとあなたは「今すぐ始めなければ!」と思うことでしょう。実際、私も1歳の息子がいますが、そう思いました。

どんな教育をすると、40年後の人生が上向く?

その研究内容と「どんな教育をすると、40年後の人生が上向くか?」の「どんな教育」の部分は次回お伝えしましょう。この研究結果は衝撃的です。もしくは分かりやすいです。または、なぜこの研究結果が、日本では語られていないのか?不思議に思うでしょう。

そうそう、一つ重要なことを言い忘れました…

人事戦略を根幹から覆す「不都合すぎる真実」とは、本当に会社にとって良い人材を確保し会社を支える人材になってもらうには、実は小学生や幼稚園生では遅いということです。70%の数字は別として、ただそれくらいの伸び率のインパクトのある0-3歳で何をするかが非常に重要だということです。

これが不都合過ぎる真実

だから、会社に入ってから「◯◯を身に付けろ」と言われても、それはとっくに難しい状況で、0歳からが勝負だということです。もちろん、何歳になっても身に付けることはできますが、ただ、その可能性はどんどん低くなるということです。

つまり、今の人事戦略は、0歳から正しい思考に基づく教育を受けていない人を対象にしている時点で、もう難しいということです。コップの中の色が何色かに染まっていているので、どれだけ会社で努力しても、限界があるうえ、時間がかかってしまうということです。

今の人事戦略は、常に博打の世界…

ということは、経済学視点で見れば、それは博打の世界になってしまい、合理的意思決定の視点で見れば、全く合理性がないということです。だから、この話は人事戦略を根幹から覆してしまうのです。

あっ…ちなみに、今さら言っても印象に残らないかもしれませんが、これは根幹から覆すだけで、現状を否定するわけではありません。脳科学的に見て、大人からでも十分に成長することはできます。ただ…それでもそのためには小さな頃に「好奇心」を身に付けていないといけないという条件があるようです。

う~ん、ということは、やはり小さな頃に決まってしまうということですか?難しいですよね。この話。だから、経営者としての私は、今は今として捉えつつ、未来はこの0歳からの話をもっと日本全体で共有して教育を進めていくべきではないかな~と思うところです。

では、次回はいよいよ、気になる研究結果の話をしましょう。

ー秋山大介